白内障とは

白内障とは、眼の中にあるレンズ(水晶体)が年齢やその他の要因によって濁った状態をいいます。白内障が進行すると視力低下やまぶしさ等を生じ、日常生活に支障をきたします。
白内障の初期の段階では、進行を遅らせる効果が期待できる薬剤はありますが、あくまで進行予防の対症療法であり、薬によって視力が回復することはありません。
白内障が進行し、低下した視力を改善するには手術が必要となります。
白内障と診断されたからといってすぐに手術を受けなければならないというわけではなく、患者さまの眼の状態やご希望によって手術・点眼薬やサプリメントによる治療をご案内します。

日帰り白内障手術

当院では日帰りで白内障手術を行っております。
手術では濁った水晶体を取り除き、代わりに人工の眼内レンズを挿入します。挿入する眼内レンズは患者さまの希望する見え方に合わせ、保険診療の単焦点眼内レンズや、選定療養・自由診療となる多焦点眼内レンズから選択できます。
手術の一連の工程は約10分で完了し、手術後はリカバリールームで休んでいただいた後にご帰宅可能となります。手術当日の滞在時間は1時間程度です。
様々な施設で延べ数千件以上の執刀を行ってきた経験を易かし、患者様への負担の少ない手術を心がけ、最新の医療機器を用いて難症例にも対応いたします。
少しでも不安な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

当院の白内障手術の特徴

眼内レンズにはいくつかの度数があります。患者様ひとりひとりに合った眼内レンズの度数を術前検査をもとに予測計算を行って決定します。
ほとんどの患者様は手術前の検査で希望の距離が見えるようになりますが、白内障の程度が強くて正確な検査結果が得られなかった場合やレーシックを行っている方は、手術前の度数計算に誤差が生じることがあります。そのため裸眼で見たかった距離が見えづらくなる可能性が少なからず存在します。
そこで、当院ではORAシステムを導入しています。ORAシステムは、術前の予測計算だけでなく、手術で水晶体を取り除いた後に術中リアルタイム計測で屈折度を再度計測し、グローバルデータを元に最適の眼内レンズ度数を提案できるシステムです。ORAシステムの導入で手術後の度数ずれをさらに軽減することができるようになりました。
ORAシステムを取り入れているのは現在、目黒区で当院のみとなっております。
また、乱視矯正の軸合わせもマニュアルではなくコンピューター制御にて行います(Alcon社;VERION イメージガイドシステム)。

白内障手術前の診察・検査について

初診

眼の検査を行い、現在の眼の状態を診察します。
視力低下の程度。白内障の進行具合をみて患者さまとご相談・ご希望の上で手術日を決定します。
次回受診の予約をお取りします。

2回目の診察(術前検査)

手術に必要な眼の奥行きの長さ(眼軸長)検査、角膜内皮検査など手術前検査を行います。
手術の説明をさせていただきます。
患者さまと一緒に最適なレンズを決めていきます。ご不安な方はご家族さまと一緒にご来院ください。
感染症の採血検査をします。

3回目の診察

採血検査の結果を説明します。
手術の説明、レンズの最終決定をさせていただきます。
手術後の生活や注意点についてご案内いたします。

手術の流れについて

手術3日前~当日(自宅で)

手術3日前から当日まで、抗菌薬の目薬を点眼していただきます。
手術前の生活の制限はございません。

当日ご来院

お一人でも問題ありませんが、安全のためにもなるべくお付き添いの方と一緒にご来院ください。
術後当日は自転車・車の運転は危険です。徒歩か、公共機関をご利用ください。
お化粧をせずにご来院ください。

手術(約10~15分程度)

点眼により局所麻酔を行います。
手術中も意識はありますが、痛みはありませんのでご安心ください。
眼を固定する器具を使用しますので、まばたきの心配はございません。

術後

眼帯をつけます。翌日診察時までつけていてください。
術後はリカバリー室で休んでいただき、ご帰宅となります。

術後について

翌日診察があります。
翌日/4~5日後/8~9日後/2週間後/1ヶ月後の頻度で検査・診察を行います。
感染症のリスクがありますので、1週間は眼を濡らさないなど注意が必要です。

単焦点眼内レンズ(保険適応)

白内障の手術に使う眼内レンズは、「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の2種類があります。
単焦点眼内レンズは、健康保険適応の眼内レンズです。
1ヵ所にピントをわせることができます。ピントを合わせた距離は最も鮮明に見えるようになります。
ピントを合わせる位置を「遠く」または「近く」から選び、選ばなかった方は原則眼鏡を使用して見ることになります。
保険負担割合が1・2割の方は片眼 約18,000円(同月に両眼手術の場合も同額)、3割の方は片眼 約53,000円で行うことができます。(検査・診察代は別途、保険適応で費用がかかります)

ピントを「遠く」に合わせたときの裸眼での見え方

ピントを「近く」に合わせたときの裸眼での見え方

多焦点眼内レンズ(選定療養・自由診療)

裸眼で遠近両方が見えるレンズです。多焦点のレンズは様々な種類があり、それぞれ見える距離や特徴が異なります。
ピントが合っている距離で見え方を比較すると、単焦点眼内レンズよりもやや劣りますが、眼鏡を使用する頻度を減らすことができます。
※完全に眼鏡が不要になるわけではありません。

当院には選定療養制度対象と自由診療の眼内レンズがあります。
選定療養を選択すると、診療費や手術費用については保険が適応されるため、負担を抑えて多焦点眼内レンズを使った白内障手術が受けられます。当院では、①Alcon社のパンオプティクスクラレオン;3焦点レンズ(従来よりも高疎水性の最新のレンズ)、②Alcon社のビビティ;焦点深度拡張型自然視覚レンズ、③AMO社のシナジー;連続焦点型、④BVI社のファインビジョンHP;3焦点レンズの4種類を取り扱っています。
当院は厚生労働省から選定療養による手術を認可されており、眼内レンズの金額は自費で保険割合に関わらず片眼 279,800円(乱視矯正レンズの場合 299,800円)となります。

自由診療では世界的にも見え方や術後成績が良いと評価されている5焦点レンズのインテンシティーを取り扱っています。自由診療では手術前後1ヵ月の検査・診察、手術手技料、眼内レンズ代金がすべて自費となります。

費用について

保険負担割合1~2割負担3割負担
費用(片眼につき)約18,000円(税込)約53,000円(税込)

多焦点眼内レンズ(選定療養適応)の費用

① クラレオン パンオプティクス279,800円(税込)
② テク二ス シナジー279,800円(税込)
③ クラレオン ビビティ279,800円(税込)
④ ファインビジョン279,800円(税込)
※上記片眼の費用になります。
※乱視矯正の場合レンズ代が+20,000円かかります。
※上記費用に加えて手術費用(保険診療分)が別途かかります。

多焦点眼内レンズ(自由診療)の費用

インテンシティー750,000円(税込)
※上記片眼の費用になります。
※レンズ費用内に手術代金、手術前後1ヶ月の検査・診察代金・薬剤代も含まれます。